ホテル紹介Introduction

新北｜魚旅背包客棧 自由な放浪魂で鶯歌を楽しむ 放浪を続ける旅人よ、魚のように海を泳ぎ回る旅人よ、今日はどこへ行く？――大きな荷物を片手に、鶯歌駅に降り立つ。すると、目は自然と海のように青く塗られた窓枠に吸い寄せられた。それは、自由な青で築かれた旅人のための家「魚旅」だった。 四方の海を航海する旅人の家 山にオウムの形をした巨岩があることから、大空を飛んでいた大きなオウムが住み着いたという伝説が残る街、鶯歌。伝説はこの地名を広く高らかに伝え、旅にメロディを添えてくれる。駅の目の前にある民宿「魚旅」は、羽休めに来た放浪の旅人を温かく迎えてくれる。 ドアを押し開けて、ロビーに入る。一本の小枝が飾られた扉の傍には遠くの彼方からやってきた小物が売られていた。エスニックな服や手作り小物など、旅好きのオーナー、Emmaさんが持ち帰った品の数々だ。「旅人の家だから、みんなに居心地の良さを感じてもらいたい」――世界各地の色とりどりの風景を取り入れようと、自ら内装を施したというEmmaさん。1階は、落ち着いた青と白で塗られた壁が穏やかな雰囲気を醸し出している。これらは全てEmmaさんのデザインで、理想を一筆一筆で形にしていった。大海原を旅する魚たちにも帰る場所があるのだと、旅人たちにパワーを与えてくれる。 色とりどりのペイントで築かれたバックパッカーたちの部屋 靴を脱いで上の階へ上がる。清潔感のあるシンプルな二段ベッドは、世界各地から訪れた旅の理想図を載せているかのようだ。バックパッカー向けの客室以外にも、2人部屋や4人部屋を備えている。ハートの中を泳ぐ小さな魚の形をしたルームキーは、客室「小太陽房」へとあなたをいざなう。ベランダが付いているこの部屋では、日差しが温かな色味の部屋を彩っている。優しく吹く風は、旅人が見ている夢が軽く揺らして去っていくだろう。鮮やかなブルーでペイントされた壁に誘われるがままに進んだ先にあるのは客室「大太陽房」だ。壁に咲き誇る大きなヒマワリが目を引くこの部屋には、大きなダブルベッドが2つ並んでいる。床には柔らかな緑色のカーペットが敷かれ、くつろぐことができる。 ギリシャ語で魚を意味する「ΙΧΘΥΣ」は、民宿「魚旅」のシンボルでもある。かつてキリスト教徒がローマ帝国による迫害を受けた際、互いに円弧を書いて魚の形を完成させることで信仰を表す隠れシンボルとして使われた。「魚旅を訪れた人々がここでパートナーを見つけてくれれば。イエス様も寄り添ってくれる」――Emmaさんは、魚たちは私たち一人ひとりの心の中にある魂のように、私たちは旅の中で少しずつ自身の生命を完成させていくのだと語る。 旅の出会いが満たしてくれる命 才能豊かなEmmaさん。大学の再受験を経て、工芸デザインの道に進んだ。学生時代には陶芸講師をしながら、各地を渡り歩き、行動で自身の心を豊かにする術を身に付けた。大学2年生のころには、九份の芸術村に短期滞在。そこでの友人たちとの出会いに恵まれた。「みんな好きなことをして生きている。シンプルな生活というものを見せてくれた」2か月の滞在で、民宿をやるという人生の青写真が出来上がった。「そんなずっと先まで待ちたくない。学生でもやりたいことはできるはず」そう決心してからは、スクーターにまたがって場所探し。3日で場所を見つけ、7日で計画を固めた。これまでの旅の経験や芸術の技術、全て民宿を造る糧となった。 「私たちの生活は常に速度と光で溢れている。魚旅は速度の中に隙間を作ってくれるのだ」――壁には熱い言葉が書かれたメッセージカードでいっぱいだ。Emmaさん手描きの旅行マップも貼られている。ここでは旅行はまるで会話のようだ。どんな言語だろうと、声があろうとなかろうと、独り言だろうと誰かに向かって話した言葉だろうと、魚旅に来れば、旅に出たいという気持ちが湧き上がってくる。それは魂となってあなたの背中を押すだろう。どこまでも続く広い海の航海へと。